劇場入り。
一昨日に江古田での最後の稽古を終え、昨日は荷出しでトラックに乗っていた。
この十数年はMODEの小道具(椅子やテーブル、ベッドなどの家具や食器類)、衣裳や装身具、それから主にカフカ作品で使った大きな扉や門などを倉庫に預けてある。埼玉県の秩父までは行かないが、そっち方面の寄居町というずいぶん田舎にある倉庫である。池袋から高速を使っても片道約2時間。毎回ではないが、ほぼ年に1回くらいは舞台監督さんなどと倉庫を訪ね、次の舞台には何が必要かをチェックしてピックアップしてきたり、これはそろそろ廃棄処理だな、などと、ま、管理をしにいく。
今回は、MODEは当面「活動休止」ということなので、この『あなたに会ったことがある・4』に必要な
道具類はトラックに載せ、他は「廃棄」という紙をペタペタと貼ってきた。しばらく、この倉庫ともお別れである。この十年間使ってきた家具たちともサヨナラ。十分に元手は取ってはいるが、使い込んだ家具というものは、家庭や仕事部屋でない、「フィクションを作り出す現場」においても、重要な位置を占めているようだ。
所謂、公共の稽古場やレンタルスタジオなどにあるパイプ椅子やパイプテーブルでも演劇の稽古がやれないわけじゃないけれど、私はなーんか駄目だな、と思うタイプの演出家です。チェーホフとかカフカとか時代背景や国柄は違っていても、そのドラマのベースに「生活空間」があるからだと思う。舞台美術が最終的にリアルなセットじゃなくなったとしても、そこにいる人間の身体感覚が何によって支配されているかと言うことは大事なことだと思う。
今回、竹内さんが書下ろしてくれた戯曲は、現代日本のある劇団の稽古場の話でまさに私たち
にとって身近な時間・空間がベースになっている。MODEの稽古場=劇中の劇団の稽古場であるように、稽古をしてきた。使っている小道具や衣裳や舞台セットもほぼMODEそのままと言える。
この一月以上、稽古場で馴染んできた物たちに、さらに倉庫から運んできた物たち(これらもほとんどの出演者にとってはお馴染みのモノたちだ)加わって、身体の記憶と物語の記憶の中で、しかしながら怠惰な記憶に影響されて、ルーティン・ワークとならないよう、「新鮮な劇」をお届けできるよう、残り後3日間、初演の開演時間のギリギリまで神経を研ぎ澄ませていたい。
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